前編のフロントホイールを取り付けてから、早くも2週間。しばらく、AliExpressから届いたフロントカーボン、リアはternの純正アルミというハイブリッドなホイール構成でRIPを走らせていましたが、ついにリアのインストールを行いました。中華カーボンホイールの後編です。
なお、フロントホイールの取り付けを行った前編はこちら。
8速カセットスプロケットの載せ替え
とにかくスプロケットが外れない・・・
スプロケットはRIPオリジナルの8速カセットをそのまま中華カーボンのリアホイールに流用するので、まずはRIPのリアホイールから取り外しを行います。しかし、ここで思わぬ大苦戦を強いられることになるのですが・・・。
カセットスプロケットをリアホイールから取り外すには、スプロケット工具という専用のツールを使います。写真のように、片方のツール先端のチェーンの切れ端をスプロケットに掛け、もう片方のツールでロックリングを緩めます。
通常であれば、両手でエイやっ!で済む程度の作業なのですが、ところが、いくら右手に持ったツールに力をかけても、ロックリングがビクともしません。出だしからこれかよっ?っと、いきなり面を喰らうことになります。
仕方がないので、ネジ山の隙間に556を吹きかけ、右側のツールの持ち手をゴムハンマーでバンバン叩いても、ロックリングは微動だにしません・・・。まさか、ネジ山にロックタイトでも塗ってあるのか?と考えてしまうほど、強固に固着しています。
最後は、先端にチェーンの付いたツールを両手で押さえ、もう片方のツールの持ち手を足で思い切り踏みました。足に乗せた体重と全身の馬鹿力で、やっとロックリングがズルっと回転。たったこれだけで、ゆうに1時間は費やすことに。まったく、野良駐輪のママチャリの分解じゃないから。と、毒づきたくもなります。
さて、やっと外れたロックリングのネジ山を見ると、案の定まったくグリスが塗られていません。こんな重い負荷のかかるパーツを、グリスも塗らずに鬼トルクで締付けるternの組み立てって・・・。そんな疑念を頂くほど、出だしから骨の折れるスプロケット外しでした。
スプロケットの歯数を数える
カセットスプロケットを取り外す機会もそれほど多くは無いので、せっかくだから気を取直して、歯数を数えてみました。ギア比は、フロントシングル・44Tのチェーンリングとの組み合わせになります。
クランク1回転で進む距離は、CatEyeのこちらの資料を参考にさせていただきました。タイヤサイズ 650Cx23Cの周長(194cm)で計算を行っています。
スピード | 8速 | 7速 | 6速 | 5速 | 4速 | 3速 | 2速 | 1速 |
歯数 | 11T | 13T | 15T | 17T | 19T | 21T | 24T | 28T |
ギア比 | 4.00 | 3.38 | 2.93 | 2.59 | 2.32 | 2.10 | 1.83 | 1.57 |
クランク1回転で進む距離 | 7.76m | 6.56m | 5.68m | 5.02m | 4.5m | 4.07m | 3.55m | 3.05m |
さて、歯数の構成から思い計るに、RIPに採用されているカセットスプロケットは、シマノのCS-HG50 11-28Tではないかと思われます。自分は、信号待ちなどからの漕ぎ出しで5速、平常の巡航で6速、ちょっとスピードを出す時は、7速という使い方がメインです。
横断歩道などで付近に歩行者がいる場合は、4速に入れ、ごくゆっくりと低速で進めるのが便利です。逆に激坂エリアに住んでいないので、3速以上の軽いギアはめったに使う機会がありません。また、トップの8速使用も、よほど見通しの良い広い通りで、さらに路面が平坦に整った状況に限られます。
それでは、tern RIPに取り付けてみましょう
スペック比較:RIP純正 vs 中華カーボンのリアホイール
RIPへのリアホイール取り付け前に、RIP純正と中華カーボンの比較を行ってみます。中華カーボンは、写真を撮る前にうっかりタイヤを組み付けてしまったので、悪しからずご了承を・・・。
サイズ 650C(ETRTO 571)、リムハイト 50mm、リム外幅 23mmの中華カーボンのリアホイール。重量は772g。まだリムテープを巻く前の素の状態での計量です。ちなみに、tern RIPの純正リアホイールの重量は、1,240g(リムテープあり)。なんとリアホイールの交換で、468gもの軽量化に成功です!(※)
※リムテープの有無で、±30g程度の計量誤差を含む。
ちなみに、ハブの拡大写真はこんな感じ。軽量ハブにありがちなアルミのフリーボディは、いわゆる「スプロケ齧り(※)」がやや懸念されるところ。
※アルミは軽量ですが柔らかい金属なので、鬼のように漕ぎすぎるとスプロケットがフリーボディに喰い込んでしまうこと。その後のスプロケット着脱に、またもや難儀します。
カセットスプロケットの乗せ替え
11速ホイールに8速スプロケットを取り付ける
11速のホイールに8速のカセットスプロケットを取り付けるには、1.85mmのスペーサーを内側に1枚噛ませます。フリーボディへの差し込み方向は、切り欠けのある溝をスプロケット側に向けます。
続いて、純正のリアホイールから取り外したスプロケットを装着します。フリーボディとスプロケットのそれぞれには、一箇所だけ幅の広い溝があるので、その位置を合わせます。なお、スプロケットを外すのに上に書いたような苦労はもう懲り懲りなので、ロックリングにはグリスを多めに塗りました。
ロックリングの取り付けに使うツールは、下の写真の1本だけです。ロックリングは右回りで締まる正ネジなので、スプロケットが空回りしません。なお、Bike Hand(バイクハンド)のこのツールは、規定のトルクがかかるとネジにかける部分が空回りをするトルクレンチのような設計。ternの初期の組み立てのように、ロックリングを鬼トルクで締付けてしまう心配がありません。
その他行った細かな作業
この他にも、バルブの延長やブレーキシューの交換、そして、リアディレイラーの再調整などの細かい作業を行いましたが、詳細は中華カーボンホイール取り付けの前編をご参照あれ。
それでは、ひとっ走りしてみましょう
tern RIP、ついに覚醒する
鉄下駄卒業?まったく別の自転車に生まれ変わる
昨年の4月にtern RIPを購入して以来、前後タイヤの交換(関連記事)、BBとクランクの交換(関連記事)、そして、今回の中華カーボンホイール導入と、地道に足回りを固めてまいりました。早速、テストライドで15kmほど走って来ましたが、結論を先に言えば、もう自転車としてまったくの別物へと進化を遂げました。
タイヤの吸い付きの良さ、クランクの高剛性、そして軽量な中華カーボンの推進力が加わり、もはや1パーセントのパワーロスも感じません。それほど、tern RIPがクイクイとよく走る・・・。
また、カーボン素材はそこそこの衝撃吸収性があるので、路面の凹凸から受けるショックをマイルドに和らげてくれます。フロントホイールはハンドルバーを握る手に伝わる衝撃を緩和し、リアホイールはサドルに長時間跨っても、それほどお尻が痛くなりません。
ハンドルバーとサドルから受ける振動のストレスは、ボディブローのようにじんわりと体力を削ってくれますからね・・・。これは、いよいよロングライドが捗る!実際、20km以上も走り続けたい気分でありましたが、2月の北風があまりにも冷たく、つま先まで寒くなって帰って来ました。
また、ディープリムは横風に弱いと言われがちですが、よほどの突風が吹く日でない限り、そのジャイロ効果(※)から受ける恩恵の方が遥かに大きいというのが、自分の印象。
※回転体は高速になるほど推進力が安定すること。まあ、よく回るコマのような理屈です。
通行人が振り向く爆音ラチェット
今回取り付けを行ったリアホイールは、台湾や中華製のハブでおなじみの「爆音ラチェット」です。走行中にクランクを止めると、「ジジジーっ!!」というアブラゼミが鳴くような爆音が鳴り響き、付近の通行人がこちらへと振り向きます。
歩行者への配慮策として、ハンドルバーやサドルに鈴を付けるローディの諸氏もおられるので、これはこれで良いでしょう。「すみません、近くを自転車が通ります」と、あらかじめこちらの存在を知らせる安全対策です。
以上、前後編に分かれた、中華カーボンホイールの取り付けでした。