昨年の12月、tern RIPのフロントホイールのニップルが緩み、ホイール内部に脱落するトラブルがありました。どうにかこうにか、その場はあり合わせの工具で凌ぎましたが、これを機にニップルレンチ(またの名をニップル回し、スポークレンチ)を二つ購入してみました。
ひとつは、ニップルのサイズを測るため。もう一つは、RIPの黒スポークに傷をつけないように、U字の持ち手がラバーで覆われたニップルレンチです。なお、事の顛末は、下の記事にその一部始終が書かれています。
ホーザンのニップルレンチでサイズを測る
ノギスを使っても、サイズが分からん・・・
tern RIPのスポークとリムを接続するニップルは、そもそも断面が微妙に正方形ではなく、ノギスを当ててもいまひとつ正確なサイズが分かりません。ネットを検索すると、スポーツバイクにはだいたい、JIS規格の#14、もしくは#15というサイズのニップルが使われているようですが、ノギスではどうにも正確な寸法を測ることができず、釈然といたしません。
そこで購入したのが、ホーザンのこちらのニップルレンチ。JIS規格の#10/12/13/14/15と幅広いサイズに対応しているので、単純にニップルのサイズ計測に使えそうだと考えた訳です。
Amazonで検索を行うと、中華製と思わしきコピー品がいくつかヒットしますが、精度がいまいち信用できないため、迷わずにこちらを購入。安心・安定のMade in Japan。そもそも、ニップルのサイズが正確に測れなければ、本末転倒ですからね。
ただし、黒塗装のスポークへの使用はお勧めできない
ホーザンのニップルレンチをスポークにかけ、RIPのホイールにはJIS #14(長さ12mm)のニップルが採用されていると判明しました。試しにニップルレンチを1/4回転くらいしてみましたが、しっかりとニップルにフィットして締めたり緩めたりが可能です。
前回のトラブルでは、緩んで外れたニップルがホイール内に脱落しただけでしたが、サイズが判かれば、万が一ニップルが破損した場合でもスペアの購入が可能です。
しかしながら、注意点がひとつ。下の写真を見ても分かる通り、ホーザンのニップルレンチはオール金属製のシンプルな形状から、ニップルに掛けるのと反対側の溝が、回転時にRIPのスポークの黒塗装をガッツリと削って剥がしてくれます(関連記事:黒スポークのタッチアップ)・・・。
よって、こちらの製品は、塗装のないシルバーのスポークへの使用にとどめるのを強く推奨いたします。かようにマルチツール的なものは、得てして何か弱点を抱えているのもまた宿命。
パークツール製のニップルレンチを追加購入
パークツール製はサイズの選択に注意
RIPのニップルのサイズ(JIS #14)が判明したので、パークツール製のニップルレンチを追加で購入しました。こちらは、U字型の持ち手が赤いラバーで覆われており、スポークの塗装を削り取る心配がありません。
ただし、同じ赤いラバーの持ち手でも、3.2mm(DT Swiss用)と3.4mm(JIS #14/15共用)の2種類のサイズがあるため、購入時には注意が必要。もちろん、自分が選んだのは、3.4mm(JIS #14/15共用)です。
それと、こちらも中華のコピー品が複数出回っていますが、そういうのは精度が保証できません。精度の怪しい工具を使うと、最悪、ニップルを舐めてお釈迦にしてしまうことがありますので、ご注意あれ。
あれば便利なニップルレンチ
本格的なホイールの振れ取りを行うとなると、また話は大掛かりになりますが、ニップルレンチをひとつ持っていれば、微調整くらいは可能です。良くホイールを空回りさせるとリムのある一部分だけがブレーキシューを擦ったりしますが、反対側のスポークのニップルを少し締めてテンションをかけてやると、案外と簡単に解消する場合があります。
ちなみに自分はRIPのニップルが脱落した時、先端がプラスチックになったペンチでニップルを傷めないように締め、その場は何とか対応しました。まさに、あり合わせの道具で急場を凌いだわけですが、こいつが一本あるとブレーキのインナーワイヤーを傷めずに強く引いたり、その他、いろいろと応用の利く逸品ではあります。
備考:ニップルは正ネジ、では、レンチを回す方向は?
ニップルは右回しで締まる正ネジです。少しややこしいのは、ニップルレンチはニップルの頭から見て逆方向から差し込むため、右回転でニップルが緩み、左回転でニップルは締まります。以上、ちょっとした備考の追加でした。