tern RIP 2020 実走行 45日間のインプレッション

first 45 days with tern RIP
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tern RIP 2020モデル(カラー:シルクポリッシュ フレームサイズ:460mm)が家に届いて、一月半の45日が経過しました。実走行距離は、およそ150km。この期間を通じて、実際に感じたインプレッションをまとめてみました。

なお、テストライドを行った初日のファーストインプレッションは、こちらにあります。



初期装備の機能について

驚異的なブレーキ制動力

初日から、えらく利くブレーキだなあ・・・、と驚かされたRIP標準のキャリパーブレーキ。その後も印象は、まったく変わらず。時速20km以下の低速走行時においても、フロントに急ブレーキをかければ、車体がいとも簡単にジャックナイフをするほど。

フロントがこんな調子なので、リアタイヤも簡単にロックします。RIPのブレーキは、レバーを握ると途端に強い制動力を発揮する傾向があり、マイルドに減速するための中間点がない感じ。

tern RIP 2020: 2フィンガーのブレーキレバーとキャリパーブレーキ
左:2フィンガーのブレーキレバー。最初は、短いのでは?と心配だったが、あまりにも強力なブレーキ制動力を発揮するため、このサイズで十分。右:無印のキャリパーブレーキ。とにかく、利き過ぎるほど利きます。

制動力を数値化して例えれば、ゼロと60〜80と100しかないようなブレーキです。利き始め前半、〜50くらいまでのゆるい制動力が無い・・・。クロスバイクに慣れない初心者にとっては、これは、ちょっと危険な領域。

よって自分は、ブレーキレバーをごく短い間隔で握ったり離したりして、高速域からの減速を行なっています。とはいえ、時には不意の急ブレーキをかけることもあり、何度車体が軽いジャックナイフをしたことか。

「キャリパーブレーキは、停止よりも減速するのが主な目的である」のような、まことしやかな言説を時折ネットで目にすることがありますが、RIPのブレーキに関しては、およそ見当違い。

セミディープリム・ホイール

自分はRIPに乗るまで、ローハイトのホイールしか乗車経験がなかったので、なんとなく言及するのを避けていたRIPのセミディープリム・ホイール

tern RIP 2020: 41mmのセミディープリムとKCNCのバルブキャップ
左:41mmのセミディープリム。バルブキャップは、後付けのKCNC製。右:フロントフォークとのバランスは、こんな感じです。

しかし、走行距離の累積が増すにつれ、結構なエアロ効果があるのではないかと感じ始めています。41mmのリムハイトは、空気を縦に切り裂き、路面を滑るように突き進む感覚が癖になる。まさに、RIP(英単語:切り裂くの意)を体現した走りを見せつけてくれます。

ところで、ディープリムは横風に煽られやすいといった話題が取り沙汰されますが、41mm程度のリム高では体感差はほとんどゼロ。突風の吹く日は、ローハイトのホイールに乗ってもきついのは変わりません

ケンダ 650Cx25C タイヤ

RIPが履いているのは、ケンダ製650Cx25Cのセミスリックタイヤ。横幅の実測値は約29mm、程よい細さのレーシーなタイヤです。推奨空気圧は、8.5barとかなりの高圧。地面をサーっと滑るような、静かなタイヤノイズが心地よい。

この細さのタイヤに高圧な空気を注入して走行するため、路面から受けるショックが大きいのは否めない。少しでも荒れた舗装のアスファルトの上を走ると、ハンドルバーを握る手に結構なストレスを感じます。20kmも走ると、まず振動で手が疲れてしまう。

tern RIP 2020: KENDAの初期出荷タイヤ
未だ、タイヤ中央のゴムのバリが健在。

ただし、およそ150kmを走破した今でも、製造時のタイヤ中央にできる細いバリのような筋が残っています。すり減りへの耐久性は、なかなか期待ができそうです。

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1×8 トランスミッション

フロント1速(44T)×リア8速(11-28T)のトランスミッションは、街乗りに必要なレシオを十分にカバーします。特にちょっとした上り坂であれば、呆気ないほどスイスイと登りきってしまいます。夜間しか走行したことのない道を、日中に逆方向から走ったりすると、初めて坂道だったことに気づかされるレベル。

これには、車重やホイール径、フレームのジオメトリなど、様々な要素が複合する結果ではありますが、RIPは1×8のトランスミッションで十分な車体設計がなされている、とも解釈できます。

tern RIP 2020: チェーンリング、リアディレイラー、8速スプロケットのトランスミッション周り
RIPの1×8 トランスミッション。スプロケットの構成も街乗りにはちょうど良いレシオ。

また、リアディレイラーは、シマノ Claris。エントリーモデルながらも、リア8速のクロスバイクには必要十分な性能です。すっきりとしたシンプルなデザインも、RIPと非常に相性良し。

アルミフレーム

初回のインプレッションで、マイルドな乗り心地と書いたRIPのアルミフレーム。一番小さな460mmのフレームサイズを選択したのが功を奏したのか、マイルドかつ適度な剛性を感じます。

トップチューブ下のトライアングル部分は、まるで小径車(ミニベロ)か?といったコンパクトなサイズ感ですが、小回りが効いて実に取り回しの良いバランスが気に入っています。

tern RIP 2020: ミニベロ(小径車)のように小ぶりな450mmフレーム
左:特別塗装のシルクポリッシュカラーのみ、bsrf (Brushed Silk Raw Finish)のロゴが印字されている。右:460mmサイズのフレームのトライアングル部分だけを見ると、まるで小径車(ミニベロ)のようなサイズ感。

なお、自分が購入したシルクポリッシュは、2020年モデルのスペシャルエディション的な位置付けで、塗装仕上げの美しさが際立ちます。ゆえに、フレームの傷対策にもナーバスにならざるを得ない・・・。

tern RIP 2020: フレームにはすでに小傷がついてしまった
いくら大切に扱っていても、すでに複数の小傷がついてしまったRIPのフレーム。

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その他、雑感

黒塗装のパーツ類

RIPはフレーム以外のあらゆるパーツを黒で統一していますが、見てくれの良さはさておき、なかなか小さな塗装ハゲの傷があちこちにつきます。

梨地仕上げのシートポストは特に傷がつきやすく、シートを上げた時、それまでフレーム内に埋没していた部分に跡が残っています。

tern RIP 2020: 黒パーツにも小さな塗装ハゲがある
左:梨地仕上げのシートポストの擦れ跡。右:ステムキャップとコラムスペーサーの左側にも、いつの間にか塗装剥げが・・・。

また、小石でも跳ねたのか、黒いスポークとリムの小さな塗装ハゲの2箇所を、タッチアプペンで補修しています。

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チェーン脱落

これまでにチェーンの脱落を2度ほど経験しました。いずれも、スピードに乗ってシフトアップを行った時に発生。1度目は、たまたまギアが変わる瞬間の路面にわずかな凸凹があり、チェーンが跳ねてフロントから脱落したのを覚えています。

150km走ってチェーンの脱落が2回。この頻度が、多いのか少ないのかは判断がつきかねますが、まあ、気をつけて乗りたいところです。

蛇足ながら、RIPに乗る時にはいつもペーパーウエスを携行しているので、脱落したチェーンを直したあと、指に着いた油汚れを拭き取るのに重宝しました。

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ノーキックスタンド

RIPには、キックスタンドがありません。ternも純正オプションを出していないので、サードパーティ製のスタンドを付けるのは野暮というもの?もはや、様式美の領域です。

ただし、街乗りの自転車として、スタンドがないのは大きなマイナス。ちょっとコンビニに寄って、さっとキックスタンドを立て、買い物を済ませる。そんな使い勝手の良さとは無縁。いちいち、RIPを立てかける場所を探さなくてはなりません。

一度うっかり、家の玄関前でRIPを倒しているし、いずれはセンターキックスタンドの取り付けを検討するかもしれません。

tern RIP 2020: クランクの先端とチェーンステーのクリアランスは非常に狭い
とはいえ、左クランクとチェーンステーのクリアランスは極めて狭く、センタースタンドの取り付けは難しいかもしれない。RIPはペダルが地面を擦りにくい、Qファクターの狭い設計。

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総論:多彩な面白みの尽きないクロスバイク

以上、雑感も含め、RIPに乗ってこれまでに経験したことや、感じたことをつらつらと書き連ねてみました。650Cホイールを筆頭に、将来の交換パーツを探すのも一苦労なメンテナンス製の低さ。

スタンドがなかったり、傷のつきやすい黒塗装のパーツが多用されていたりと、決して実用性も高いとは言いがたく、その美観を保ちながらも快適に乗りこなすには、あれやこれやの工夫が必要と言えます。

tern RIP 2020: あれこれ面白みの尽きないクロスバイク
あれこれ言いつつも、RIPは面白みの尽きないバイクです。

そんな理由から、決して万人にはお勧めできませんが、面倒な手間もひっくるめて楽しめる自転車乗りには、実に多彩な面白みを感じさせてくれる。それが、tern RIPというクロスバイク。

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